"ベトナム不動産協会(VNREA)の最新報告によると、2026年初頭の不動産取引率は従来の水準と比べて20〜30%に低下している。高金利(住宅ローン年利12〜14%)と銀行の信用枠制限が主因で、特に中間層向けの住宅購入意欲が大幅に低下している。専門家は政府による金利引き下げ・信用枠拡大・許認可迅速化の「三点セット」が不可欠と指摘しており、市場の本格回復には政策的な後押しが必要な状況だ。"
ベトナム不動産市場に「後押し」が必要。高金利・信用枠制限で取引率が従来比20〜30%に低下
2026年3月19日、ベトナム不動産協会(VNREA)は、現在の不動産市場が深刻な停滞に直面しており、政府による強力な「後押し(push)」が必要であるとの見解を発表した。高水準の銀行金利、厳しい信用枠の制限、そして複雑な法的手続きが重なり、市場の流動性は著しく低下。ハノイやホーチミン市などの主要都市でも、不動産取引率は好調だった時期のわずか20〜30%にまで落ち込んでいる。
市場停滞の三重苦
VNREAによると、現在の市場の困難は主に3つの要因によって引き起こされている。
高金利と資金調達難: ベトナム国家銀行(SBV)による金融引き締め政策の影響で、不動産ローン金利は依然として高水準で推移している。多くの商業銀行では、住宅ローンの金利が年13〜15%に達しており、購入者の負担能力を大きく超えている。さらに、不動産セクターへの融資総量規制(信用枠)も厳格に適用されており、デベロッパーは新規プロジェクトの資金調達に苦慮している [1]。
法的不確実性: 土地法、住宅法、不動産事業法など、関連法の改正が続いているものの、その施行や解釈を巡る不確実性がプロジェクトの遅延を招いている。特に、土地のクリアランスや建設許可の取得に時間がかかり、多くのプロジェクトが塩漬け状態になっているのが現状だ。
信頼感の欠如: 市場の停滞が長期化するにつれて、購入者と投資家の双方で将来に対する信頼感が低下している。価格の下落を期待して購入をためらう動きや、より安全な資産への逃避が見られ、市場の流動性をさらに悪化させる悪循環に陥っている。
| 要因 | 具体的な内容 | 市場への影響 |
|---|---|---|
| 金融政策 | 高金利(13-15%)、信用枠の制限 | 購入者の負担増、デベロッパーの資金繰り悪化 |
| 法制度 | 関連法の不確実性、許認可の遅延 | プロジェクトの停滞、供給不足 |
| 市場心理 | 将来不安による買い控え、信頼感の低下 | 流動性の著しい低下、取引率20-30%に |
政府と業界からの提言
この状況を打開するため、政府と業界関係者からは様々な「後押し」策が提言されている。
金融緩和: 不動産セクターに対する信用枠の緩和や、住宅購入者向けの金利優遇措置の導入が最も強く求められている。特に、初めて住宅を購入する層や、社会住宅・手頃な価格の住宅を対象とした長期・低利の融資プログラムの創設が急務とされている [2]。
法整備の加速: 関連法規の明確化と、許認可プロセスの透明化・迅速化が不可欠である。VNREAは、プロジェクトの遅延を解消するために、ワンストップでの行政サービス窓口の設置などを提案している。
需要喚起策: 政府が主導して、手頃な価格の住宅供給を増やすためのインセンティブを強化すること(別記事参照)に加え、不動産取得に関する税制の優遇なども検討すべきとの声が上がっている。
正常化への道のり
専門家は、これらの政策が実行されれば、市場は徐々に回復に向かうと見ている。しかし、金融政策の舵取りはインフレ圧力とのバランスを取る必要があり、一朝一夕に解決する問題ではない。
ある大手デベロッパーの幹部は、「市場のファンダメンタルズ(人口増加、都市化の進展)は依然として強い。政府からの適切な『後押し』があれば、信頼感は回復し、流動性は戻ってくるだろう。今はその転換点を待っている状態だ」と語った。
ベトナム経済の重要な柱である不動産市場が再び健全な成長軌道に戻るためには、政府、金融機関、そしてデベロッパーが一体となった協調的な取り組みが不可欠となっている。
[1] Real estate market needs 'pushes'
[2] Incentives proposed for affordable commercial housing projects



