"ベトナム政府は、世界的なエネルギー市場の混乱を受け、ガソリンや石油製品に対する最恵国(MFN)輸入関税を一時的に0%に引き下げる緊急措置を発表した。国内のエネルギー供給を安定させ、価格高騰を抑制することが狙い。"
ベトナム、石油製品の輸入関税を0%に引き下げ
ベトナム政府は2026年3月21日、世界的なエネルギー市場の混乱と価格高騰に対応するため、ガソリンおよび関連石油製品に対する最恵国(MFN)輸入関税を一時的に0%に引き下げる政令72号(72/2026/NĐ-CP)を公布した。この措置は、国内のエネルギー供給を安定させ、高騰する燃料価格を抑制することを目的としている [1]。
緊急措置の背景
中東情勢の緊迫化により、主要な輸送路であるホルムズ海峡の航行リスクが高まり、世界の原油価格は不安定な状況が続いている。ベトナムは国内需要の約70%を2つの国内製油所(ニソン製油所、ズンクアット製油所)で賄っているものの、残りの30%は輸入に依存しており、世界市場の変動から大きな影響を受ける構造となっている [1]。
特に、ニソン製油所はクウェート産原油への依存度が高く、供給の安定化が喫緊の課題となっていた。このような状況を受け、政府はエネルギー安全保障を強化するため、今回の関税引き下げに踏み切った。
関税引き下げの具体的な内容
今回の措置により、以下の品目のMFN輸入関税が0%に引き下げられる。
| 品目 | 変更前 | 変更後 |
|---|---|---|
| 無鉛ガソリン(RON95等) | 10% | 0% |
| ディーゼル燃料 | 7% | 0% |
| ジェット燃料 | 7% | 0% |
| ナフサ、リフォーメート等(石油化学原料) | 5% | 0% |
この措置は2026年4月30日まで有効だが、世界市場の状況に応じて延長される可能性もある [1]。
国内経済への影響と今後の見通し
この関税撤廃により、ベトナムの事業者は世界貿易機関(WTO)加盟国からより安価に石油製品を調達できるようになり、輸入先の多様化が期待される。これにより、特定国への過度な依存を減らし、供給網の柔軟性を高めることができる。
2025年、ベトナムは約990万トンの石油製品(68億ドル相当)を輸入しており、主な輸入相手国は韓国、シンガポール、中国、マレーシアであった [1]。今回の措置は、これらの国々に加え、他の国からの輸入を促進し、国内の競争を活性化させる可能性がある。
政府は、この措置が製造業や物流業のコストを安定させ、経済活動全体を支える重要な役割を果たすと期待している。しかし、世界的なエネルギー価格の根本的な不安定さが解消されない限り、国内価格への圧力は続くと見られており、政府は引き続き市場の動向を注視していく方針だ。
出典:
[1] The Nation Thailand. "Vietnam cuts MFN oil import tariff to 0% to tackle energy crisis". 2026年3月21日. https://www.nationthailand.com/news/asean/40064069



