"イラン戦争による中東の原油供給不安が高まる中、ベトナム産業貿易省がエネルギー安保強化のため日本・韓国に協力を公式要請した。緊急時の原油スワップ、共同購入・輸送、精製技術移転などが協議対象。エネルギー価格が10ドル上昇するとGDP成長率が0.2%pt低下するとの試算もあり、政府はすでに小売燃料価格を2度引き上げた。2026〜2030年の国内生産減少見通しも背景にある。"
ベトナム、中東情勢不安の中、原油確保のため韓国・日本に協力を要請
2026年3月17日 - イラン戦争による世界的な原油供給網の不安定性が高まる中、ベトナム政府が安定的な原油確保のために韓国と日本に公式に協力を要請しました。これは、エネルギー安全保障に対するベトナムの深い懸念と、域内の主要経済パートナーとの連携を通じて危機を克服しようとする戦略的な動きと解釈されます。
エネルギー安全保障の危機と国際協力の模索
グエン・ホアン・ロン商工次官は、先週末に東京で開催されたエネルギー安全保障サミットに出席した際、このような要請を行ったとロイター通信が報じました。ベトナムは原油の輸入依存度が高い国で、特に2025年にはクウェート産原油が輸入の大部分を占めました。しかし、最近の中東情勢の急激な悪化により、安定供給に対する不確実性が高まっています。
ベトナム政府は、2026年から2030年にかけて自国の原油生産量が減少すると予測しており、外部からの供給網の安定性確保がさらに切実になっています。このような背景の中、精製技術と大規模な貯蔵施設を持つ韓国と日本は、ベトナムにとって理想的な協力パートナーと見なされています。
韓国・日本との協力内容
ベトナムの協力要請は、単に原油を追加購入すること以上のものです。具体的には、以下の内容が含まれると予想されます。
- 緊急時の原油スワップ:供給に支障が生じた際、韓国と日本が備蓄している戦略備蓄油の一部をベトナムに優先的に供給する案。
- 共同購入および輸送:3カ国が共同で原油を購入・輸送することで、規模の経済を通じてコストを削減し、交渉力を高める戦略。
- 精製技術およびインフラ協力:韓国と日本の先進的な精製技術をベトナムに移転し、貯蔵施設の拡充のための共同投資を行う。
経済への影響と展望
エネルギーコンサルティング機関は、原油価格が1バレルあたり10ドル上昇するごとに、ベトナムのGDP成長率は約0.2パーセントポイント低下し、インフレ率は0.3〜0.4パーセントポイント上昇すると分析しています。これは、エネルギー価格の変動がベトナム経済全体に与える影響が大きいことを意味します。
ベトナム政府はすでに、緊急価格設定規則に基づき、小売燃料価格を2度引き上げるなど、緊急措置に乗り出しています。今回の韓国・日本との協力模索は、このような短期的な対応を超え、中長期的なエネルギー安全保障体制を構築しようとする努力の一環です。
今回の協力要請が成功裏に実現すれば、ベトナムはエネルギー危機に対する緩衝能力を確保するだけでなく、韓国、日本との経済的な結びつきをさらに強化する契機となるでしょう。3カ国のエネルギー協力が、急変する国際情勢の中で新たな安定モデルを提示できるか注目されます。
出典: The Diplomat, Reuters
