"ベトナム建設省は、手頃な価格の商業住宅プロジェクトに対する大幅なインセンティブ措置を提案した。開発業者の利益上限を15%に設定する代わりに、法人税・土地使用料の優遇、低金利融資(年利4〜5%)、許認可の優先処理などの支援を受けられる仕組みだ。中間層向け住宅の供給不足が深刻化する中、政府は2026〜2030年に全国で100万戸の手頃な住宅供給を目標に掲げている。"
ベトナム政府、手頃な価格の商業住宅にインセンティブ提案。利益上限15%・優遇融資など
2026年3月19日、ベトナム建設省は、手頃な価格の商業用住宅プロジェクトに対する新たなインセンティブ案を政府に提出した。この提案は、深刻化する住宅不足、特に低・中所得者層向けの住宅供給を促進することを目的としており、投資家に対して土地利用料の免除や優遇融資などの具体的な支援策を盛り込んでいる。
背景:高まる住宅需要と供給のミスマッチ
近年の経済成長に伴い、ベトナムの主要都市では住宅価格が高騰し続けている。一方で、国民の所得の伸びはそれに追いついておらず、特に若い世代や労働者層にとって、マイホームの購入はますます困難になっている。市場では高級コンドミニアムの供給が過剰となる一方、手頃な価格帯の住宅は慢性的に不足しており、この需給のミスマッチが社会問題化していた [1]。
政府はこれまでも社会住宅政策などを通じて問題解決を図ってきたが、より市場メカニズムを活用したアプローチとして、商業ベースの安価な住宅供給を後押しする必要があると判断した。
インセンティブ案の主な内容
今回提案されたインセンティブは、特定の基準を満たす「手頃な価格の商業用住宅」プロジェクトに適用される。主な内容は以下の通り。
| インセンティブ項目 | 詳細内容 |
|---|---|
| 土地関連 | 土地利用料、土地賃貸料の免除または減額。 |
| 税制優遇 | 法人所得税(CIT)、付加価値税(VAT)の減免。 |
| 資金調達支援 | 政府系の社会政策銀行や指定商業銀行からの優遇金利での融資。 |
| 許認可の迅速化 | 投資計画、建設許可などの行政手続きの簡素化・迅速化。 |
これらのインセンティブを受けるための条件として、プロジェクトは以下の基準を満たす必要がある。
- 販売価格: 建設省が定める平米単価の上限を超えないこと。
- 住戸面積: 70平方メートル以下であること。
- 利益上限: プロジェクトの総投資額に対する利益率が15%を超えないこと。
特に「利益上限15%」という条件は、投資家の過度な利益追求を抑制し、価格を手頃な水準に維持するための重要な規制となる。
市場への影響と期待
不動産専門家は、この提案が承認されれば、市場に大きな変化をもたらすと期待を寄せている。これまで採算性の問題から手頃な価格帯のプロジェクトに及び腰だったデベロッパーにとって、税制優遇や資金調達支援は大きな魅力となる [2]。
Savills Vietnamの専門家は、「この政策は、デベロッパーが低・中所得者層向けのセグメントに参入する強力な動機付けとなるだろう。供給が増えれば、市場全体の価格安定にも繋がり、より多くの人々が住宅を購入できるようになる」と分析する。
一方で、利益上限の設定や厳格な価格管理が、かえって投資家の意欲を削ぐのではないかという懸念の声も一部にはある。政策の実効性を高めるためには、インセンティブの内容と規制のバランスを慎重に調整していくことが今後の課題となるだろう。
政府は今後、関連省庁や業界団体からの意見聴取を経て、最終的な政令を公布する予定だ。この新政策が、ベトナムの住宅市場が抱える構造的な問題を解決する一助となるか、その動向が注目される。
[1] Incentives proposed for affordable commercial housing projects
[2] Real estate market needs 'pushes'



